三重県大台町出身の絵本作家・イラストレーター・あそび作家「浦中こういち」さんの絵本作品「ぴったんこ」の原画展が、森のお菓子屋スピカで開催されています。
浦中こういちさんは、三重県多気郡大台町生まれ。
9年勤めた保育園を退職後、フリーのイラストレーター・あそび作家として活動を始め、2014年「バナナをもって」(クレヨンハウス)で絵本作家としてデビューされ、現在子どもたちに向けたあそびの実演や、保育士を対象とした講演など全国で活躍されながら、数々の著書を発表されています。
<著書>
●絵本 バナナをもって/キャベツをもって/ケーキをもって (クレヨンハウス)
●その他書籍など
わくわく楽しいパネルシアター(ナツメ社)
忍者あそびがいっぱい(かもがわ出版)
パネルシアターキッド「ほっぺがおちるよ」/「きっぷはいけん!Go!Go!汽車」/「パズル王子」
パネルシアターキッド「どっち?どっち?どっちかな?」(成美堂出版)
紙皿シアターキッド「くるくるポン!」/「ドアをとんとんとん」/「ごちそう!ごちそう!たべたのだーれ?」
スケッチブックシアター「おかいものだいすき」(かもがわ出版)
あそぼっくす200(メイト)
CDあそぼっくすソング(コロムビアレコード)
●自主制作 CD
「いたずらおばけ」/「わいわいレストラン」/「パパパパイナポー」/「こうしんウンタカタ」/「ぽかぽかぽかポン」/「まとめちゃったよBest&NewSong!」
現在原画展が開催されている森のお菓子屋スピカで、浦中こういちさんにお話をお伺いしました。
大台町に生まれ、どのような子ども時代を過ごしたか
1979年大台町、旧宮川村に誕生。幼い頃はどんなお子さんだったのですか?
「内気で、親の後ろにいつも隠れているよう子どもでした。絵を描くことは好きでしたが、絵本はあまり読まなかったな・・・。図鑑が好きで、動物、魚、昆虫、色々な図鑑がボロボロになるまで読んでいました。今の仕事をしているのを親は驚いていますよ。」
学生時代の将来の夢は何でしたか?
「中学2年生のとき、学校で『将来の夢を決めてこい』と言われ、その時初めて真剣に将来について考えました。当時読んでいた漫画『めぞん一刻』の主人公が保育士になるんですが、男性でも保育士になれるんだと知り、目指すことにしました。それを聞いた親が、『宮川保育園に言っておいたから、明日から行ってきてみな』と手配してくれたんです。いきなり息子が保育士になりたいと言い出したけれど、保育園の現状を目の当たりにして諦めたらいいと思ったんでしょうね(笑)。そんな親の意向とは反対に、実際の現場に入らせてもらったことで、保育士になる決心は揺るがないものとなりました。親に感謝です(笑)。
中学3年生のときには、家庭科の授業で絵本を作りました。内容は、大きな卵を見つけて調理しようとして温めると大きなヒヨコが生まれた、という今思えばありがちな設定。初めて絵本を作ってみて、楽しい、もっと作りたいと心が躍りました。懐かしいな・・・当時の家庭科の先生に会って、僕の絵本をプレゼントしたい。」
夢を叶え、保育士に
就職先は地元の「宮川保育園」だったんですよね。最初から地元で働くと決めていたのですか?
「津の学校に通っていたので、まずは近隣の保育園で働いてから地元に帰れたらと考えていました。でも、進路指導の先生が『地元で就職した方がいい』と勧めてくれたんですよね。それで、旧宮川村職員の採用試験を受けることにして、晴れて合格しました。」
保育士時代はどんな先生でしたか?
「今思えばはちゃめちゃな先生でした。反省することばかりです。子どもたちとあそびに夢中になりすぎて一緒になって怒られたり、子どもたちより自分が楽しんじゃってるような・・・今思い返すと、あいたたた・・・って(笑)
子どもたちとは、絵をたくさん描きました。どんな絵を描いても、子どもたちには勝てないんですよ。」
曲作りのきっかけ
「保育士時代、あそびの研修に参加した時に講師の方に『ピアノが苦手なんです・・・』と相談したことがありました。すると『ギターは弾ける?』と聞かれて『はい。』と答えたところ『じゃ自分で作っちゃったらいいよ。』とアドバイスを受けたことがきっかけで、曲作りを始めました。作曲した歌を、ある出版社の方に相談したら『保育雑誌で歌を評価してくれるのがあるから送ってみたら?』と教えてもらいました。すると、初めて作った3曲のうち1つが佳作、1つが審査員特別賞に選ばれたんです。それでうれしくて、出版社の方に『審査員の新沢としひこさんにお会いしたいです』となんとなく話したところ、トントン拍子でお会いすることになりました。あのとき新沢さんに『歌を作るならまず100曲作る』という言葉をもらって、『え!?できるのかな?』と半信半疑ながら取り組んでみると、子どもの姿を見て毎日のように作っていたら、あっという間に100曲になりました。4小節、8小節の短い曲から長めの曲まで作詞作曲しました。作った歌を子どもたちに披露すると、すぐに反応が返ってきました。ノリノリになってくれる歌、あまり乗ってきてくれない歌、様々でした。実は、今回の絵本『ぴったんこ』も保育士時代に作った曲が元になっています。」
新作絵本「ぴったんこ」と原画展について
「子どもたちはくっつくのが好き。普段の子どもたちの様子や動きを見ていると、自然におはなしや歌が浮かんできます。保育士時代に作った曲『ぴったんこ』は子どもたちの受けが良く、今回作った絵本の原案になっています。2019年4月の月間絵本としてリリースされ、好評だったようで2019年6月に絵本『ぴったんこ』は書籍化されました。」
スピカさんで原画展を開催することになった経緯は?
「スピカの奥さんは中学時代の同級生なんです。彼女がUターンで帰ってきて夫婦でカフェをオープンすると聞き、なんでも協力するよ、と言っていました。バレンタインギフトのイラストを描かせてもらったり、ね?」
スピカ「シーズンギフトの挿絵、いつも可愛くて好評です。今回の原画展は、オープンしてからお店でイベントをするのが夢で、やっと少し余裕が出てきたので『個展をぜひ』とオファーしました。おおだいスタンプラリーの開催期間でもあります。必ずご注文いただく必要はないので、原画展とスタンプラリーあわせて楽しみにお越しください。」
浦中こういち絵本「ぴったんこ」原画展 ※前半と後半で絵を入れ替えます。
前半2020年1月17日(金)~1月31日(金)
後半2020年2月1日(土)~2月17日(月)
開催場所:森のお菓子屋スピカ 三重県多気郡大台町小切畑194/TEL 0598-76-1434/水曜定休/11:00~18:00
☆ぴったんこクッキー☆「ぴったんこ」の始まりは、男の子が野原で元気に蝶々と遊んでいるところから。その蝶々をモチーフにクッキーを作りました。
☆バナナシフォンサンド☆こうちゃんの初めての絵本「バナナをもって」に敬意を表し、スピカの定番シフォンサンドとバナナがぴったんこ!定番ふわふわシフォンに生クリームとバナナを挟みました。ほろ苦風味のキャラメルクリームがアクセント。
【2月2日(日)午後 浦中こういちサイン会 開催決定】
「今回の原画展は、前半と後半で絵を入れ替えます。1月31日に入れ替えるので、お時間のある方は前半と後半どちらも見に来てほしいですね。原画を入れている額にもこだわっていて、地元大台町の『三重額縁』の額を使用しています。本来は木目はこんなに出ていなかったんですが、温かみが出るのではと、直前になって磨きました。」
絵本作家・イラストレーター・あそび作家、浦中こういちの誕生
保育士を退職し、フリーになったときのことを教えてください。
「保育士時代から、休みを利用して各市町に親子ふれあいライブや講演に行っていました。旧宮川村の村長に他の市町で活動することの許可をいただきに伺った際、『宮川村を宣伝してこい』と言われたのが印象に残っています。自分のやりたいことと保育士とを両立するのが難しくなってきて、保育士を退職する道を選びました。フリーになって1年目は、以前から習っていた陶芸を学びに瀬戸の職業訓練所に通いながら、夜行バスで東京に行き、自分を売り込みに行きました。パネルシアターキッド『ほっぺがおちるよ』は、フリーになってすぐに出版社で実演した作品です。名古屋の絵本専門店の店主に『浦中君の作品を絵本にしたい!』と、東京のクレヨンハウスに繋いでいただきました.2013年夏に編集者が付いて、1年かけてデビュー作「バナナをもって」を出版。3~4年目には立て続けに出版が決まりました。
当時の園長先生にフリーになってからの様子を報告に行くと、『どこかに営業に行けば、必ず誰かと繋がってくる。それってなかなか出来ることではないよ。人徳だね。』と。」
今後の夢
「『年間5冊出版できるところを、実演の比率が多くなりすぎて1冊しか出版できていない』と担当者からは言われます。でも、僕の作品は人に出会って刺激をもらうことで生み出される。子どもたちが関わらないと作品は生まれません。実演に行くから、自分らしく生きられる。結局は、保育士が原点なんです。保育が好きなんですよね。
夢は、小さな本屋さんを作ること。絵本作家の横の繋がりがあるので、それを生かしてギャラリースペースを作り、ゆっくりできるカフェも併設したい。地元、大台町にできたらいいですね。」
絵本作家・イラストレーター・あそび作家「浦中こういち」オフィシャルサイト
http://www.kouichi-uranaka.com/
浦中こういち絵本「ぴったんこ」原画展は、2020年2月17日(月)まで開催です。ぜひ森のお菓子屋スピカでコラボスイーツと共にお楽しみください。