2023年5月19日~21日、広島で開催された第49回先進国首脳会議(G7広島サミット)。

各国の要人たちへ振る舞われる“食”は、特に注目されるおもてなしのひとつです。

前回日本が会場となった2016年5月の第42回先進国首脳会(G7伊勢志摩サミット)では、大台町から、有限会社森と水を守る会「森の番人」元坂酒造株式会社「酒屋八兵衛」、要泉園「宮川育ちのワサビ」の3つが提供されています。

今回のG7広島サミット、実は三重県から唯一提供された飲料が、大台町の特産品である「お茶」でした。

日本茶からは東京の伊藤園、京都の祇園辻利など超有名どころと肩を並べ、大台町産のお茶がなぜ選ばれたのか、その理由を解き明かしていきます。

平成19年に地域ブランドとして商標登録された三重県産100%の緑茶「伊勢茶」。

三重県は、お茶の栽培面積・生産量・生産額が、静岡県・鹿児島県に次いで全国3位です。

南北に長く山あり海ありと自然に恵まれた三重県では、産地の特性を活かしたお茶が栽培されています。

鈴鹿山脈山麓の麓に広がる北勢地域では煎茶やかぶせ茶、中南勢地域では山沿いの恵まれた条件を活かして煎茶をはじめ深蒸し煎茶が栽培されています。

 

さて、今回のG7広島サミットで提供されたのが、大台町栃原「やまりん製茶」の定番商品「特上煎茶 大台茶」。

「特上煎茶 大台茶」は、5月上旬に収穫した新芽の煎茶で、丁寧に製造し仕上げられたお茶。

綺麗な緑と黄金色の混じった色で、味にコクがあり香りは爽やか、安らぎの時間を満喫するのに最適な有機煎茶です。

 

やまりん製茶の林公彦社長にお話を伺いました。

Q.G7広島サミットで提供するという事前の連絡はありましたか?

林社長「事前連絡はなく、後から知りました。新聞社からの取材依頼の電話で初めて知り、びっくりしました。まさかといった感じでしたね。広島サミットのWEBサイトで調べたら、一覧表に確かに掲載されていました。」

 

大台町役場から国へ問い合わせるも、サミットで提供された経緯は非公開であるとのこと。

林社長「商品を気に入り、推薦してくれた人がいたならありがたいことです。」

 

Q.やまりん製茶の商品の特徴は?

林社長「三重県多気郡大台町栃原で、農薬と化学肥料を使わない有機栽培でのお茶づくりをしています。

先代が独立し、昭和38年にやまりん製茶を設立。昭和53年から徐々に無農薬栽培を開始しました。それ以前は農薬を使っていましたが、父が消毒を行った後に頭痛など体調不良を起こすことがあったようで、それがきっかけとなり有機栽培を始めました。

平成11年にJONA認定取得。平成13年にはJAS認定を取得しました。」

 

山間地の小さな茶産地ではあるものの、大台ケ原山系から流れ出る、日本一の清流・宮川の恵みを受けてきた大台町。

この土地で育った大台茶は、大変味が良く、コクのある仕上がりになります。

林社長「おいしい完全無農薬のお茶は人が飲む飲料の中では、健康な体を作るための一番の飲料だと考えています。有機栽培は手間がかかるけど、作り甲斐があります。多くの方々に美味しく飲んでいただけるお茶づくりに努力を重ねています。」

 

農薬や化学肥料に頼らず、太陽・水・土地・そこに生息する自然の恵みを生かし、人にも自然にもやさしい安全・安心なお茶づくり。

頑固一徹と謳うやまりん製茶だからこそ、G7広島サミットで提供された飲料の一つとして選ばれたのかもしれません。

Q.今後の展開は?

林社長「今年の秋頃に、大台町で店舗展開を行います。お茶を使ったラテやフルーツティーなどを提供し、お客様がゆっくり休める場所とテイクアウトのお店として作っていきます。」

 

お茶を楽しめるお店という新しい試みの他にも、こんな商品も作ろうと思っていると次々と語る林社長。

「お茶でやりたいことはたくさんあってアイデアは尽きないが、追いついていかないんだ」と話す笑顔の向こうに、日本茶の未来が輝いて見えました。

 


やまりん製茶

三重県多気郡大台町栃原259

TEL:0598-85-0580

販売会社 セーフティ・リ・ファーム88


 

やまりん製茶林公彦社長へのインタビューを動画でもご覧ください!

 

さて、サミットの話題がもう一つ入ってきました。

2023年6月16日~18日に開かれたG7三重・伊勢志摩交通大臣会合の乾杯酒の一つとして、大台町の元坂酒造「酒屋八兵衛 純米大吟醸」が提供されました。

2016年に開かれた第42回先進国首脳会(G7伊勢志摩サミット)では、元坂酒造「酒屋八兵衛 山廃純米酒 伊勢錦」と「酒屋八兵衛 伊勢錦山廃」が提供され話題となり、たくさんの問い合わせがあったそうです。

日本酒は冬に仕込むため、5月のサミットで提供された日本酒は当時在庫が少なく、すぐに完売となってしまったものの、元坂酒造が作る他の商品も販売増となったといいます。

元坂酒造の担当者は、「伊勢志摩サミットで提供され、当時たくさんのお問い合わせをいただけて会社全体で喜びました。今回のG7三重・伊勢志摩交通大臣会合でも、三重県に何軒もある蔵元の中から当社の商品が選ばれ、大変光栄です。」と話していました。

今回提供された「酒屋八兵衛 純米大吟醸」は、三重県産の山田錦を55%精米にて使用し、酵母はMK-01を速醸酛にて培養。低温で発酵させる事で自然な吟醸香と透明感が印象的なお酒に仕上げられています。穏やかな甘味が感じられるメロンやバナナの香り。口に広がる軽くソフトな甘味を酸味が持ち上げ、一体となって喉奥に運ばれます。牡蠣や海老などの魚介類、鰹の出汁などと合わせて頂くとそれらの旨味と調和し、良いバランスで楽しめるそう。

各国の要人たちも味わった日本酒をぜひご賞味ください。

※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。


元坂酒造株式会社

三重県多気郡大台町柳原346-2

TEL:0598-85-0001